プロの採用コンサルタントが教える就活生のための就職成功方程式

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短期集中連載 第3回
いま企業が求める人材とは〜平均値に合わせる学生の大きな勘違い〜

 「HRプロ」には、採用担当者約7000人が会員登録しています。
そうした企業の中には、本当に優良な世界的に競争力のある企業であるにもかかわらず、学生が先入観で「自分には関係ない企業」と思いこんでいて、なかなか就職先として認知されにくい会社もあります。

 一方で、人気が集中して非常に多くの学生が応募するにもかかわらず、財務的に厳しかったり、実情は学生のイメージとはかなり違うケースも多くあります。そうした中で、自分に合った優良企業をどのように探せば良いのでしょうか。

 数百社の企業の採用を支援してきたHRプロ代表である採用コンサルタントが、徹底的に「採用する側の視点、情報」から解説します。

HRプロ株式会社 代表取締役 採用コンサルタント 寺澤康介

HRプロ株式会社 代表取締役
採用コンサルタント 寺澤康介

企業が求める能力の平均値データ

 就職活動中の学生が最も関心のあることの一つは、企業がどのような人材を求めているかだろう。
しかし、多くの学生がこの重要な点で大きな勘違いをしていることが多いのだ。相手の求めるものが分からなければ、就職活動がうまくいかないのは当たり前。今回の記事は心して読んでほしい。

 HRプロでは毎年企業の採用担当者にアンケートを取り、学生に求める能力は何か、逆に不足している能力は何かを聞いている。

 求める能力の第1位は「コミュニケーション能力」だ。実に85%の企業がダントツに重視している。第2位は「前に踏み出す力」61%。第3位群は固まっており「社会常識」「チームで働く力」「基礎的な学力」が並んでいる。

 さて、それでは、学生に最も欠けていると採用担当者が考えている能力は何だろうか。
1位は「コミュニケーション能力」「前に踏み出す力」が53%で並んでいる。ここで注意してほしいのは、求める能力では「コミュニケーション能力」がダントツの1位だったのに、欠けている能力では「前に踏み出す力」が1位に並んでいることだ。このギャップから分かることは、今の学生は積極性に欠けると企業の採用担当者が強く考えていることが分かる。

学生に求める能力、不足している能力

OB・OG訪問をしない学生たち

 「みんなの就職活動日記」で2011年卒の学生に調査したところでは、学生は就職環境に不安を感じ、多くの企業にプレエントリーし、会社説明会に参加するのだが、OB・OG訪問をする学生は極めて少ないままなのである。

 インターネットが普及したことで、就職ナビや個々の企業の採用ホームページで情報はあふれるほどになった。学生の多くはネットで情報を検索しプレエントリーし、説明会に予約してスケジュールを埋めることで、就職活動をした「気分」になってしまっている。

 しかし、本当の就職活動、企業選び、志望動機の形成は、企業と、社員と会うことでしか成り立たないものだ。結婚を書類だけで決められないのと同じように(中にはそういうものもあるだろうが)、良い就職は人との出会いによって決まる。就職先を決める最終的な決め手を、多くの学生は「あの人のようになりたい」「あの人と働きたい」というように、人との出会いだったと言っている。

 それなのに、学生は多くはOB・OG訪問を積極的にしようとはしない。企業の採用担当者が学生の積極性の無さを強く感じる大きな要因である。逆に言うと、積極的にOB・OG訪問をしている学生ほど、就職活動がうまくいっていることは事実である。

 改めて学生に欠けている能力に関する採用担当者の回答を見ると、3位は「社会常識」となっている。これもある意味、学生が一般の社会人と日常触れる機会がいかに少ないかということだ。色んな社会人と会話を重ねるなかで、自分に何が欠けているかが分かってきて、自然と社会常識は身につくものだ。

OB・OG訪問をどうやってすればよいか

 こういう話をすると、必ず学生から「OB・OG訪問をどうやればいいのか分からない」「自分の学校のOB・OGが行きたい企業にいない」などという声が聞かれる。しかし、もしこれが企業の営業なら、営業開拓をどうすればいいか分からないと言っているようなものだ。できない理由を探すのではなく、どうすればできるのかを考えよう。

 たとえば、合同会社セミナーや個別セミナーで関心を持った企業の担当者にその場で、「社員の方と話したいのですが、どうすればよいですか。」と聞けばよい。また、企業の直接電話をして頼んでみればよい。もちろんダメな場合もあるが、そんなことでめげてはいけない。その他、親や親戚や知り合いのつてを頼る、就職部に聞くなど色々やり方はある。ある学生は、その企業が出している商品を販売している現場に行って、社員をつかまえて話を聞いていた。

 先にも書いたように、企業は「前に踏み出す力」を持つ学生が減っていると感じており、そのような学生を求めている。OB・OG訪問を自分の力で開拓しようとする学生を評価する採用担当者は少なくないだろう。

 実際にある採用担当部長に聞いた話だが、採用実績のない学校から人事に電話が入り、たまたまその部長が電話を取った。一旦はOB・OGを紹介していないと断ったが、あまりに熱心にお願いされたので、自分が会うことにした。会ってみると非常に積極的で突破力のある学生だと感じたので、選考ラインに乗せて、最終的に入社にいたったとのことだった。もちろんこのような話はまれだろうが、積極的にトライすることが大事なのである。

企業が求める能力の平均値に合わせてはいけない

 さて、企業が求める能力のランキングを先に挙げたが、ここで皆さんが誤解をするといけないので言っておこう。これはあくまで企業が回答した平均値であり、個々の企業で求める人材は異なっているということだ。わたしの会社の仕事はこうした全体的傾向を出すことだが、その平均値をただ追っていても個々の企業が求める人材とはイコールにはならないのだ。

 こういう平均値に学生が影響されすぎると、その人材像に合わせようとしてみな同じような無個性なタイプになってしまう。就職対策で自分を企業が求めるものに合わせようとしすぎる傾向が強くなっているが(今流行りの就職塾などはその傾向を増幅しているように思う)、それは企業の採用担当者が最も嫌うことなのである。

 では、どうすれば個々の企業の求める人材を知ることができるのか。よく採用ホームページに書かれていたりするが、言語化するとどれも同じような内容になってしまいがちで、学生からすると分からないだろう。

 それこそ、その会社の社員に会って話をする中で感じていくのが1番である。そして、その求められるものが自分にあるかどうか、本当に自分がやりたいと思えることなのか、確認していくのである。それが本当の自己分析なのだ。

 自己分析などという言葉は嫌いなので使いたくないが、あえて言えば、就職活動での自己分析とは、全人格的な分析などではなく、企業との相性を測っていく中で働くことの自分軸を確認する作業である。企業と会うまえにやるものではないことを明確に言っておこう。

 企業と会って話をする以外に、企業が求める人材を知るための良い方法を一つ教えておこう。それは、その会社の採用ホームページや入社案内に出てくる社員が、まさにその企業が求める人材例だということだ。会社にいてほしくない社員をそのような採用ツールに出すことはあり得ないからである。

 では、自分がその求められる能力を持っているのか、やりがいを感じられるのかを知るために、その社員になりきって掲載されているストーリーを追うと良い。もしそう感じられれば、その企業との相性が良いかもしれない。あとは、実際会って確かめる作業をしていくのである。

 就職活動は社会人の土俵で行われる。その土俵のルールを知り、相手の求めるものを知る。相手が求めるものが分からないから怖かったり不安になる。それらを知るためには、とにかく多くの社会人に実際に会って話をすることだ。その積極性が何より必要だし、実際に接することで社会人の常識、求められるものの勘どころが分かってくる。そうして個々の企業が求めるものの違いが分かってきて、自分が合うかどうかの相性がチェックされるのである。

Talk Sessionトークセッション 採用担当者の本音トーク

旭化成 人財・労務部 採用グループ 米田未央さん × HRプロ 代表取締役 寺澤康介

 「プロの採用コンサルタントが教える、他では絶対聞けない実践的就職勉強会(2010年12月9日)」では、HRプロ代表の寺澤康介が講演を行った後に、旭化成採用担当の米田未央さんをお迎えしてトークセッションを行った。

 米田さんは入社5年目。初任配属で宮崎県の工場に赴任し、1年半の勤労担当を経験後に本社の採用担当になった。2012年度は採用担当として4シーズン目になる。

 現在は採用する側だが、米田さんにも当然就活にいそしんだ時期がある。5年前の自分を振り返りながら、採用担当として経験を踏まえて有益なアドバイスを話された。

 質疑応答では、多くの学生から質問が発せられた。

 「志望動機に給与を上げてもいいのか」に対しては、もちろん構わないが、給与だけが志望動機ではダメとアドバイス。

 「スーツを着ると自分ではないシューカツ人になってしまう」という質問に対しては、旭化成のセミナーではリクルートスーツではなく私服できてもらっている理由がまさにそれと指摘。学生が無用な緊張をしないようにとの配慮からだという。またスーツ姿に慣れるにはスーツを着て多くの社会人に会って話すとよいと説明。

 「筆記試験対策に新聞は必要か」に対しては、面接でいきなり聞かれることもあるから、普段から読むようにした方がよいとアドバイスされた。

 「どうすれば多様な価値観を受容する会社を見分けるのか」という企業選びの知恵に関しては、歴史を見ることでどのように事業分野が発展してきたかを知ることができるほか、経営者の発言にも表れるし、外国人雇用が進んでいるかどうかでダイバーシティ(多様性)を測ることができると説明。

 その他にも「OB/OG訪問」「面接で他社での就活の進展状況を聞かれた時」「志望企業が少なくなりすぎた時の対処法」など多種多様な質問が飛び出した。

 トークセッション終了後も多数の学生が個別の質問を希望し、終了後約1時間、トークセッションの2人が質問の一つひとつに丁寧に回答した。終了後のアンケートでは、ほとんどの学生が「非常に満足」と回答。「OB・OG訪問の重要性が理解できた」「自己分析で悩んでいたが解消した。元気が出た!」「採用担当者から生の話が聞けて本当によかった。感謝します」などの意見が多数寄せられた。

HRプロは就職関連調査として、みんなの就職活動日記のアンケート調査に協力しています。

自分の企業評価の視点が確認できるので、ぜひ投票してみてください。

【12月12日(日)投票締切】

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